第三話「イアネボット」

両手をあげたブラウンは呟いた。
「亜人？まさか…竜の…？」

竜の亜人は世界一珍しい種族。
顔に不思議な模様があるのが特徴的だ。
数が少なく、住んでいる島は空高くにあるらしい。

竜の亜人はブラウンの側にいるリラを見て安心したのか、剣を鞘にしまった。
「すまない…怪我が痛くて気が立っていた」
ブラウンはホッとして両手を下げ、自己紹介をした。
「俺はブラウン。こっちはリラで、俺の相棒なんだ」
「私はジスト。仰るとおり、竜の亜人です」

ブラウンはジストの怪我の応急処置をしながら、彼女の話を聞いた。
島では“イアネボット”と言う竜の亜人を
飛べなくさせてしまうウィルスが広がっているようだ。
ジストはまだ感染していなかったので、その病の治療に使われる果実を
採取しにここまで飛んできたが、突然飛べなくなってしまった。
島を出る直前に感染したのかもしれない。

「そして怪鳥に遭遇してしまい、この有様…」
「これからオレンジタウンと言う街へ行くのだが、
良かったら一緒にその街へ行って、病院で怪我を診てもらわないか？」
と、ブラウンは聞いてみた。
ジストはしばらく考えた後、足元に置いていた巾着袋を手に持ち、
彼らと一緒に街へ行く事にした。



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第二話「ドラゴン？」

飛行中、怪鳥に遭遇した。
リラが近くまで来るとパッと遠くに逃げた。
獲物か何かを見つけたのだろうか、同じ場所でグルグル飛び回っている。

ここはオレンジタウンまであと少しと言う距離。
リラはゆっくりと高度を下げて、草原に着陸した。
ブラウンがリラから下りて地に足をつけると、何かの気配を感じた。

遠くの方で、右へ左へフラフラと歩いているドラゴンの姿を見つけた。
よく見ると左腕から血を流している。
さっきの怪鳥に襲われたのだろうか？

ブラウンは小さい姿に戻ったリラと共に、ドラゴンを驚かせないよう、
ゆっくりと近づき、手当てをしてあげようと手を伸ばした次の瞬間！
ドラゴンはブラウン達に剣を向けた！

(ドラゴンが剣を！？)
その顔や姿をよく見てみると、ドラゴンとは少し違う顔や姿だった。



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